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宮部みゆき 著 : 誰か [宮部みゆき]

宮部みゆき 著 : 誰か

著者はいくつ引き出しを持っているのだろう。

今までにも著者を読む度文体が違う。
本書は自分好みの文体と雰囲気。

ストーリーだけを追えば、二百ページ程度で締めくくれる結末を
敢えて五百ページ弱まで広げている。

この手法がうまかった。
ダラダラ引き延ばしているのではなく、
ひとつひとつの出来事に息吹を与える。

そして主人公の朗らかさがその広がりを包む。

内容はというと、とあるお抱え運転手が突然事故で亡くなってしまう。
車を降りているとき、自転車にぶつかって。

犯人は子供だという目撃情報が。
しかし、被害者の意外な過去が明るみに出て・・・。
殺人事件らしく、いろいろな人間模様が生々しく描かれる。

しかし主人公の設定上、重過ぎずゆったりと読める。
きっとそれは主人公が幸せな環境にいるからだろう。

ミステリーにして主人公が幸せな設定というのはあまり聞かないし。
文庫本の表紙もいい。なんか愛着がわく。

まあ結末はせつないのだが、
主人公のそれに対する受けとめかたまたいい。
普段の幸せに一人戻っていく感じが。新しい宮部みゆきの発見です。

誰か (文春文庫 み 17-6)

誰か (文春文庫 み 17-6)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/12/06
  • メディア: 文庫


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諭す愛情 [宮部みゆき]

宮部みゆきの懐の深さ、大きさがわかる作品、
それが 宮部みゆき著  「クロスファイア」 である。
ミステリー、時代小説、ファンタジーと、多(他)ジャンルにおいて、
潜在能力を発揮する著者に感心してしまう。

本書は、ファンタジーミステリーとでもいうのだろうか。
超能力を使い、悪人を制す。
一見、ヒーローのように感じられるが、次第にその思いが狂気と化す。
突出しすぎた思いは、正義をも悪へと導く。

まるで、重い鉛を背負わされたような読後感。
小説自体は、重い内容でありながら、夢中になって読み進められる。
しかしながら、主役の狂気が痛く、それが最後の読後感に残る。

怠惰でいると、叱るのは当然だが、
うちの親の場合は、僕が社会人になってからは、
仕事で突出した成績を残すと、人に合わせろ、成績に溺れるなと諭す。

ときに夢中になりすぎて、周りを見失うなという意味だと思う。
たしかに突出した仕事の成績など、学生時代の成績と違い、
周りのサポートがなくては得られないのだ。
それをさも自分の成績、自分だけの成果と考えてしまうのは危うい。
本書の狂気とは、質もレベルも違うが、そんな親の一言を思い出してしまった。

主人公にも、諭す誰かがいたらと思ってしまった。
応援し、前向きなエールを送るのも愛情だが、
それを諭し、充分だと止めるのも愛情かもしれない。

この記事で、うちの親が立派で優しい人間に思ってしまったら間違いである。

子供のころ、普通、病気になろうものなら、親に優しくされたいものだ。
しかし、風邪をひいたら自己責任。体調管理能力が欠如しているという。
結構厳しい親なのである・・・。


クロスファイア(上)

クロスファイア(上)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2002/09/10
  • メディア: 文庫


クロスファイア(下)

クロスファイア(下)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2002/09/10
  • メディア: 文庫


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